2009/05/03

クルマ社会をリセットせよ !

〜付け焼き刃の政府施策は長続きしない〜
●輝かしい20世紀後半を築き上げ、一貫して日本の経済拡大を続けていくための源泉となった我が国の工業技術。その核となる先端領域は今も国内に温存されている。
対して、その技術を製品化するためノウハウを貯め込んでいかなければならない良質な労働力は、21世紀となった今日、製造工場の海外拡散が急速に進んだことから、もはや日本だけのお家芸と言えなくなってきている。

●またこの間、モノ造りの一端を担ってきた自動車産業は、バブル期以降の社会環境に迎合できないまま、まるで古生代の恐竜のような衰退期を迎えつつある。
一方で政治は、二大政党制を巡る陣取りゲームに終始。しばらく自動車業界の衰退を他人事のように眺めていたが、政府また行政としてようやく、昨年秋の国際金融危機を契機に「エコカー減税」「購入助成」「スクラップインセンティブ」といった緊急措置を打ち出し、マスコミも経済界も日夜、これに需要回復の期待を込めている。

〜生活者は「消費者」という名では括れない〜
●けれども、そもそも「クルマを保有することへの魅力」をここまで失墜させたのは、その日本政府自らが行ってきた諸制度の結果であり、かつ、マスコミや経済界がこの国に地に足をつけて暮らす生活者を勝手に「消費者」という名前に呼び変え、ひたすら購買行動をあおった直近の20年間に筆者は大きな元凶があるように思えてならない。

●今更、「若者のクルマ離れ」を自動車マーケットの低迷原因にあげつらう自動車メーカーの経営者や評論家も悲しいかな未だ多い。
しかし例えば出版業界において、自動車を題材する書籍や雑誌媒体の低迷は今に始まったことではなく、2000年頃から顕在化してきていた。
自動車メーカー各社の広報部門もそれを充分承知しており、自社製品の広告出向先を自動車専門誌から、対象外のファッション誌や情報誌にシフトしていたから、それは明白である。

〜離れてしまった自動車メーカーとユーザーの意識〜
●つまり「市場変化の速さ」や「若者の車離れ」といった要素はバブル崩壊後、早くもその予兆が見え隠れしていたのである。
にも関わらず、1990年代後半から日本の自動車メーカー各社はプレミアムカーを介して車両価格一台あたりの利益拡大に奔走し、市場の変化に気付かないふりをし、足元の原因分析を積極的に行わず、目の前ぶら下がっていたはずの課題に永らくフタをしてきたのである。
結局それは、本来はとうの昔に取り組まねばならなかった宿題を未解決のまま放置してきた訳であり、金融業界や食品業界において、日本国内で発生した問題の元凶とそれほど大差がない。

●自動車メーカートップが、これに対して思い当たる向きは多いはず。
というより日本の経営者たちが愚かではないことを信じて、そうであって欲しいと願っている。
実のところすでに21世紀を迎える前の段階で、自動車業界はこれまでの商慣習も含め、社会への関わり方や考え方を大きく変えなければならなかったし、日本で暮らす生活者の意識は、それらに先駆けて自動車メーカー各社の思惑とは違う方向に舵を切り始めていた。

〜我々が持つ自動車の概念を見直すべき〜
●そうした現実は、過去の数字を見ても明らかだ。昨年2008年度の新車販売台数は、遂に480万台と500万台の大台を大きく割り込んだ。
もはやこの数字が500万を超えることがないことは自動車メーカー各社も充分承知していることと思う。
というのはこの流れは何も2008年になってから始まった訳ではないからだ。国内の自動車マーケットにおける登録車台数の現象は2000年を迎えて以降、右肩上がりの登録台数をしばしば割り込むという断続的なサインが発生していたのであるから。

●2000年以降、ゆるかやな市場低迷が進行していたことから、もはや国内市場の衰退は、短期かつ即効的な「エコカー減税」や「購入補助」「スクラップインセンティブ」などという付け焼き刃の政府施策ではどうにもならない。
昭和から平成に至る間に日本人が、人間社会が、育んできた自動車パッケージの概念自体が、もはや終わっているのだ。
特に都市部や長距離移動において、他の公共交通機関と激しく競合するゆえに、一般的な乗用車一台あたり乗車定員が5人乗りや4人乗りでなければならない理由はどこにもないし、現在の車両寸法の規定が、この先の世の中でも永続的にまかり通るとは思えない。

〜大切なのはクルマ造りの思想を見極めていくこと〜
●クルマを持つことに対する魅力とは、「いつでも好きなときに好きなところへ行けること」。それが自動車と呼ばれる乗り物の核心であり醍醐味であるはず。
それについて「保有する・しない」の概念はまったく関係ないし、生活を便利にするたるの単なる移動ツールでしかない乗り物の存在自体が「乗る人の付加価値を押し上げる」という概念も前時代的な考えである。

●これに薄々気付いたトヨタは、極端な低コスト思想を背景に、比較的安上がりな投資環境でも自動車造りをおこなえるようIQを造ったと筆者は考えている。
同車は腰下や操舵などの構造から見て、カー・オブ・ザ・イヤーカーで「全長3m弱というミニマムなボディに、4人乗りを可能としたパッケージング&デザイン。さらに9エアバッグを装備し、高い安全性と環境への配慮もバランスよく実現した“革新的”なFF車である 」という受賞理由。またトヨタ自身が言う「トヨタクオリティを凝縮した」という切り口より、安普請という意味ではないがインドのTata Groupが造るnanoの思想に近い乗り物であろう。

●同じような実車の話題でもうひとつ、先のエコカー減税の先頭に立ち、昨今マスコミ報道で何度も取り上げられているホンダのインサイト
同車はプリウスとよく比較されているようだが、この両車は「ハイブリット形態の動力源を持つ」という共通要素はあるものの、あくまでもガソリンエンジンの補助としてモーターを付けたインサイトと、トヨタのそれとは車両開発の思想がまったく異なる。
本来、両車を車両購入の天秤に掛けることそのものが本当はナンセンスなほど、車両の設計思想は違う。

〜時代に合わなくなった政府制度と施策〜
●上記のように、今は車両開発の出発点となる思想を新たにしたクルマが日本国内の市場には沢山あるのだが、最終的にマーケットに送り出される個々の完成車両そのものは、既存の自動車のかたちやサイズなどの枠内にとどまってしまっている。その理由は、単に政府の既存税制等の規制枠に縛られているからに過ぎない。

●例えば今は一般に自家用車と俗称される分野で、「普通車」と「軽自動車」という呼び方が存在しているが、もはやこうしたジャンル分けでは、今の時代の生きる生活者に訴求できる乗り物は絶対にできないし、若者に迎え入れられる新しいクルマも今の自動車の延長線上では決して誕生しない。自動車を巡る諸制度、諸施策はもう時代に合っていないのだ。

●ゆえに日本政府は、急場しのぎの施策を数多く打ち出すよりもこの新しい時代に向き合って、どういった乗り物を国民が求められているのかを根本的に問うべきだ。
またそこには自国に技術基盤を持つ自動車産業にしていくという哲学も併せて持って欲しい。

●ちなみにこれは国々の垣根を乗り越える「グローバル環境を否定せよ」、「鎖国せよ」、ということでない。
しかし世の中が一層グローバル化するなか、新たな観点として「グローカル」という言葉が語られる昨今である。国内に独自の基盤を持たないマーケットや産業はいずれ衰退する。それは火を見るより明らかなことである。

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2008/01/15

21世紀のクルマ選び

〜低迷する韓国の軽自動車マーケット〜
●隣国の、韓国自動車工業協会(KAMA)によると、当地では現代自動車のミドルグレード車であるソナタが、2007年の最多販売台数(10万5247台)を達成。
さらに2位アバンテ、3位がグレンジャーと、世界規模で原油価格が高騰しているのにも関わらず、韓国内では依然、押し出し感の強い中・大型モデルに人気が集中している。
同国の小型車枠で唯一気を吐いたのは中小企業の活力に支えられ、約7万台を売り上げた現代・ポーターだけである。

●そうしたなか今年から韓国内では、車幅が1.5メートルから1.6メートルに、排気量で800ccから1000ccへと、同国内における軽自動車規格が拡大される。
これを受けて起亜自動車は、AT装備車で1リットル当たり16.6キロという好燃費と100万円に満たない手頃な車両価格を武器にした1000cc車モーニングを投入。
これによって、それまで韓国軽自動車市場ただ一台の軽自動車として、ひとり舞台を演じ続けてきたGM大宇のマティズとの戦いの火蓋が切って落とされることになった。

〜韓国で自動車は乗るヒトを体現する鏡〜
●実はこれまで、韓国では軽自動車の販売は永らく低迷してきた。
これは日本海の対面で、軽自動車の販売数だけが今日も伸び続けている日本国内とはまったく異なる展開である。
もちろん韓国においても、日本と同じように軽自動車は、税制面や道路通行料の割引など車両維持に掛かる費用面でのメリットはシッカリと存在している。

●しかし韓国では「自動車を持つこと」に対してステイタス性を大変重く見ているところが、日本とは大きく違う。
加えて「大柄なクルマの方が衝突時には安全だろう」とするステレオタイプの考え方も相まって、現代・起亜・GM大宇・双龍ルノー三星と数多ある自動車メーカーのなかでも軽自動車市場に進出する企業はホンのひとにぎりである。
近年の韓国内で、マティズの競合と目されていたクルマは、現代のアトス、起亜ビスタ位であり、またそれらのライバル車達は、既に販売停止の憂き目を被り、韓国内の自動車マーケットからはとうに消え去っている。

〜日本の軽自動車が韓国市場へ参入する機運も〜
●つまり韓国では、「大きなクルマこそ成功の証と見なす」という国民意識が、エコな軽自動車市場発展の大きな障壁となっているのである。
そこでこの2007年末、韓国政府の大統領職引継ぎ委員会は、年間243万バレルの原油節減効果を狙って、これまでは「小型車へのLPG搭載は危険である」と拒否し続けていた軽自動車とハイブリッドカーに対するLPGの使用を、2015年までの8年間に限定して認める意志を固めた。

●加えて日本からは韓国の軽自動車市場開拓を目指し、日本メーカー進出の機運が高まりつつある。
その第一波は、GM大宇が仕掛ける三菱「i」の販売である。
気になる車両価格は100万円を大きく超える見込みで、韓国市場の経済環境からは若干値が張る。しかし急騰している原油価格や、都心で悪化する交通事情を勘案すれば、軽自動車の販売比重が高まる可能性はまだまだ充分にあるだろうし、また韓国の聡明な消費者達はきっと正しい選択をするだろう。

〜韓国は世界の自動車社会に大きな影響を与える存在に〜
●翻ってみると韓国の自動車産業は、1960年代末から80年代後半にモータリゼーションのピークを迎え、1970年代にわずか7万台余りだった車両登録台数は、30年目の節目を迎えた2000年には336万台となっている。
そして2007年。商用車も含めた自動車生産台数で、現代自動車は1社単独で453万台と3年連続で世界6位の自動車生産台数を記録するに至っている。

●それが意味するのは、もはや韓国が自動車の世界において一介の挑戦者では無いということだ。
韓国はアジアの自動車社会という枠を超え、世界経済に大きな影響を与えるほどの自動車生産大国なのである。
しかしそんな自動車生産と販売を支えているエネルギーは、目下のところ間違いなく化石燃料の石油であり、その生産量自体は2005年末の8,600万バレルをピークに、今この時も減少の一途を辿っている
近年の技術革新で、原油採掘と並行して石油抽出元の大地からは、新たに天然ガスも採掘されている。とは云え、いずれは発展途上国も含めた世界の石油需要に追いつかなくなる日は近い。

〜ひたすら消費することだけが幸福を生む鍵なのか?〜
●他方では石油をエタノール燃料に替えていくことで、「さらに自動車社会を維持・発展させていくことも可能」とする見識もあるようだが、本来人間のための食料であるはずの穀物を自動車燃料と競い合わせること自体、数多くの課題が山積しているのではないか?
またそもそも石油から造られない新エネルギーのエタノールであっても、排出される二酸化炭素量はまったく変わらず、かつ現時点での燃料効率はエタノールの方が劣るのである。

●加えてサプライムショック覚めやらぬ金融市場から、膨大な投機資金が原油市場に流れ込んでいることを踏まえると、現時点で世界を支える米国経済が果たしていつまで安泰なのか予断を許さない。
そうした環境下で950,000百万ドル余ものドル建て外貨を抱えている日本も心しなければならないことだが、韓国でも自動車生産・販売体制を「米国依存体質」から「内需確保型」の経済スタイルに仕立て直しておくことは必定となるだろう。

〜人の欲望は無限だが、地球の資源には限りがある〜
●21世紀を迎えた現代人にとっての人生の成功とは、「資源を浪費することで得られる幸せ」を求めて、沢山のモノを買い込み、大きなクルマに乗ることではないのだろう。自動車社会や人間社会を今後もより発展させていくために、我々は今日何をするべきなのか。一人ひとりが考えて・行動する、そんな時期に来ているのだ。

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2008/01/01

高速道・通行料金の値上げにクサビを打て!

〜首都高・新料金案に2万人が意見〜
●2007年も押し迫った12月31日。YOMIURI ONLINEに、「首都高・新料金案に2万人意見、84パーセントが上限下げるべき」という記事が掲載された。
詳細は「読売新聞」または「YOMIURI ONLINE」をご覧頂きたいと思うが、2007年9月に首都高速道路株式会社から、彼らのステークホルダである関連業界・政府・一般に向けて、普通車1200円・大型車2400円を上限に、距離別の段階的な通行料金を導入したいとするアドバルーンが挙がり、これに対して運送業界を中心に「実質的な値上げにほかならない」との反発意見が大勢を占めたのである。

●具体的には、今年9〜12月まで首都高速道路株式会社のホームページ等を通じておこなわれたパブリックコメント(意見募集)で、延べ2万1125人が回答。1200円の上限料金の設定について、84パーセントが「引き下げるべき」とし、「やむをえない」(11パーセント)や「適切」(5パーセント)の容認派を大きく上回った。
パブリックコメントには、トラック運転手などの職業ドライバーや輸送系企業だけではなく、一般ドライバーからの反対意見も数多く含まれており、この結果は、当初、来春までに方針をまとめたいと云っていた同社の決定に影響を与えるだろうし、また首都圏道路計画についての過去の経緯から考えても、そうでなければならない。

〜新料金適応後のドライバーへの恩恵は軽微〜
●ちなみに当サイトの来訪者各位には、釈迦に説法かと思うが、首都高速道路株式会社の提案する通行料金の詳細は、現行で普通車が一律700円のところが通行料金を距離に応じて400~1200円になる。大型車(目下1400円)は、800~2400円にしたいと同社では考えているようだ。
またこれはETCの利用が前提で、適応されると走行距離10キロ未満の場合のみ値下げになり、10キロ以上19キロ未満は同額に、19キロ以上は値上げになる計算だ。

●同社ではこの流れを加速するべく、ETCの積極運用を求め、横浜湾岸線の割引実験など様々な取り組みを積極展開中である。
一方、現時点でETC利用を選択していないドライバーに向けては、「東京X」と呼ばれる新料金支払いシステムの模索を並行して計画中という。ただ現時点で現金払いの選択しか持ち合わせていない利用者であるなら一律、普通車1200円、大型車2400円の上限料金が首都高速道路の通行料となってしまう。

〜利用者へ還元されない民営化の見返り〜
●実のところ最大の問題はここにある。現通行料金の上限である700円で走れる距離が、改訂されるとたったの19kmまで(10kmから19km)となってしまうからだ。それ以上走れば距離に応じて料金は32.5km以上になるまで加算されていく。
ゆえに残念ながらETCの利用の有無を問わず、多くの利用者にとって、新しい価格改定は、通行料金値下げの恩恵には決してあずかれないしくみということなる。

●そもそも首都高速道路の通行料金に関しては、道路建設当時の政府公約ではなかったかも知れないが、「将来は無料になるという」をふれこみで始められた。
そしてそれが何度となく先送りになった末に、小泉改革の渦中で首都高速道路は公団から民営化された。今回の動きは、その際の公約を果たすための料金値下げであるのだろう。

〜距離別料金制は最強のETC普及策〜
●けれども折角、民営化された首都高速道路株式会社なのだから、パーキングエリアにおけるビジネス展開など、収益拡大のための可能性は他にも残されているのではないか?率直な話、普段、慎ましくスーパーマーケットやコンビニで買い物をしている庶民感覚で捉えると、どうして現在の通行料金である700円がイキナリ倍近い1200円に値上げされてしまうのか理解に苦しむ。

●むしろ全国に点在する各道路運用会社は、人員削減を筆頭とする自社経費のコストダウンのため、道路を使ってくれているユーザーにETC機器を購入させるという負担を強いてまで、個人情報の取扱面で一抹の課題が残る現行ETCの普及を一心不乱に進めている。距離別料金制の導入は、そうした意味で、「最強のETC普及策」と云う穿った見方もできるのである。

〜交通行政を真摯に捉えた対策が不可欠〜
●ただその内容からみて、簡易版というより「次世代型ETC」とも云える「首都高X」を含め、ETCそのものは世界に誇れるしくみであるのだから、距離区分の最小料金単位を100円や50円からのスタートにするなど、細かく運用管理することも可能なのではないのか。
先に開通した首都高速中央環状線の世界最先端トンネルもイイのだが、今回取り上げたニュースは生活密着という切り口で、より重要かつ注目すべき話題のハズである。

●首都高速道路株式会社は、申請案を2008年春までにまとめ、2008年秋から距離別料金への移行を目指す。しかしあくまでも同社から発表された料金案は「意見募集案」であり、決して決定したものではない。
話題と云えば、かつて首都高速道路についての報道で一時期、フリーウェイクラブが注目を集めた。
道路行政に対するこうしたタイプの市民レベルの抗議は、違法性が強く、決して勧められるものではないが、社会や自然環境と折り合いをつけ「自動車で生活の質を高めること」には、例え市民レベルであっても、まだまだ成長の可能性が残されている。
時代が「環境の世紀」を迎えた今日。今回のような曖昧な距離別料金制導入は、新たなクルマ社会を生み出す原動力にはならない。むしろ交通・流通網に対する無計画な経済圧迫は、早晩、消費者を直撃するだろう。

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2005/10/10

自動車交通網のインテリジェント化がもたらす未来

●国土交通省による第3期ASV実験が順調に進んでいる。
今回の実験では、クルマ間のリアルタイム通信を介して「正面」「右左折」「出会い頭」「車線変更」「停止車両」「歩行者」など、多角的な環境での抑制効果を実証していくという。このため国内14メーカーが実車を持ち寄って、より現実に近い環境下で実験を行う。ちなみにこの「ASV」というのは「Advanced Safety Vehicle」の略である。

●要はエレクトロニクス技術を通して、自動車を高知能化して交通環境での安全性を高め、高度道路交通システムことITS「Intelligent Transport Systems」の受け皿になる近未来のクルマを造るというものだ。
近年話題のITSは、そのためのインフラ網という訳だが、その方法はカーナビゲーションの高度化、自動料金収受システム、安全運転支援だけでなく、その他の複数の開発分野から構成されている。

●そんなITS構想は目下、4つのフェーズを順次消化していくことで進められており、すでにVICSなどによる交通関連情報提供や自動料金収受は実現済み。
2005年頃とされている第2フェーズでは、旅行時などで利用者のリクエストに応じた魅力的な目的地を検索。所要時間等を勘案した到着までの最適経路や交通機関を簡単に選択できるようにする。さらに続く第3フェーズにあたる2010年頃には、夢の自動運転が始まり、第4フェーズでは交通事故死亡者が大幅減少。都市の道路渋滞も低減するというシナリオが描かれている。

●一方そうした未来を語る以前に、現実のインフラ面でスマートIC実験の延長を決めた常磐自動車道・友部SAを筆頭に、全国各地で着々と自動車交通網のインテリジェント化は着々と進展中だ。
有識者による電子情報通信学会のITS研究会や、学識経験者、自動車・二輪車メーカー、関連団体、研究機関、関係省庁を委員とするASV推進検討会などを経て、関連技術の社会浸透速度も大きく加速している。

●そんな中、実は以前から気になっていることがある。
それは国土交通省の久米技術安全部長が、本年頭の辞でも語っていたスマートプレートの行方だ。
このスマートプレートとは、車両識別を目的に登録情報を記録した電子ナンバープレートのことで、一般車両のナンバープレートに小型ICチップを埋め込み、その情報を路側に設置した受信機を介して読み取るというもの。現在のETCカードが目下、鉄道事業で使われているJR東日本の「スイカ」や、同西日本の「イコカ」だとしたら、スマートプレートは、端末そのものに同機能を組み込んでしまう「おサイフ・ケータイ」のようなものと思えば判り易い。

●同システムを使うメリットは「身体にハンディキャップのある人が乗っている」など、特定の車両を瞬時に判別し、そうしたクルマの属性毎に様々な割引き料金を適用対象したり、ナンバープレートの自動識別を通して将来始まるであろう道路上における様々なサービスを享受できるようになることにある。
ITSの認識性能もシステム開発を担う三菱電機によると、次世代は相応の高速領域でも大容量データの交換が可能になるという。
また実はこちらの実用化は先のASVより大幅に早く実用化される方針だ。ちなみにスマートプレートには、ナンバーの識別だけなく車検証記載のデータなど個人的な情報が含まれる可能性が高く、同関連の委員会にはすでに現時点でNシステムを通じて一般車両の移動を監視している警察庁からの委員も加わっている。

●社会がエレクトロニクスを通して便利になるのは、一般庶民として諸手を挙げて歓迎したいのだが「車両情報に伴う移動場所の特定」という現実は、ともすればプライバシーの侵害につながり、さらにパーソナルな乗り物であるクルマの立場を危うくする可能性も秘めている。
またそもそも先の交通インテリジェント化構想で、クルマの自動運転が可能となるのであればエンスージァストを除く一般消費者にとって、今後、自動車ビジネスは単にクルマというハードウェアを消費者に訴求するだけのビジネスモデルでは通用しなくなり、永年魅力ある商業施設やレジャー施設とのシナジー効果を消費者に訴求してきた鉄道輸送とも競合する可能性すら出てくる。
Nシステムに関しては一般の方々が開設している様々な切り口を持つサイトがあるので、交通社会のインテリジェント化に夢馳せる時は、それに対する多角的な効用についても是非とも想いを馳せて欲しい。

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2005/07/24

遅れてきた巨人、中国の成長がとまらない

●世界の政府代表や自動車業界人が東京に集い「第5回国際自動車産業・日本円卓会議」が行われ、この席上で、中国汽車工業協会首脳が「中国市場は今後40年以上成長が続く」という強気の発言をした。

●2005年に総人口13億人の壁を突破した中国。その想像を絶するスケールメリットを活かし、旧い国家体制を維持したまま自由経済拠点を次々と増殖させている
そんな中国が年間のエネルギー消費に使う石油は全体の約3割。しかもその7割は自動車燃料として使われている。

●おかげで中国の石油消費量は、自国の石油産出量を超えもはや自由主義国家間との交易なしに立ち行かない環境下にある。
しかしかつて天安門事件によって経済発展が立ち後れたように、中国は特殊な政治体制ゆえのアキレス腱を抱えている。というのは基本的に中国では、政府各省が基幹産業を育成を掌握しており、突き詰めれば経済効率よりも政党の安定性が優先される可能性を秘めているからである。

●またこのほど遂に通貨の切り上げを行ったものの、今後、外貨とどのように連携を取っていくのかは未知数でもある。もしも仮に世界の通貨相場の見込みを誤ることともなれば、それが「バブル崩壊の引き金になる」と唱える経済学者は少なくない。

●そもそも中国が社会経済の改革・開放に踏み出したのは1978年末のこと。この頃の中国で乗用車といえば、政府高官の乗る「紅旗号」「上海号」が5000台程度闊歩しているに過ぎなかった。
しかしその後、地域暫定とはいえ経済開放を果たした中国国民のバイタリティは、まさに止まることを知らないかのようだ。

●一時期、55社以上あった中国の自動車メーカー各社は、政府の方針により淘汰され、今ではあからさまなコピー商品の氾濫も収まりつつある。むしろモータリゼーションの黎明期を潜り抜け、ここ大陸にも健全な自動車生産・販売の土壌が醸成され始めているように見える。

●特に2001年のWTO加盟以降、自動車生産は規模に関しても急拡大を見せている。
より具体的には乗用車の生産台数で、2001年の72万台から2002年は110万台へと伸長。去る2003年には444万台(前年比36.6%増)の数字を達成してあっさりフランスを抜き世界第4位の自動車生産国に躍進している。

●業界の最新予測では、2005年の自動車保有台数は2000万台超となる見込みで、さらに2010年には3000万台超となるといわれている。
その効果は部品調達の裾野が広い自動車産業ゆえに、今後は化学・繊維工業も含め中国の産業レベル向上に大きく貢献するだろう。

●そのなかで日本の自動車メーカーは、諸事情もあって中国への進出に大きく出遅れていた。しかし2005年を迎え、中国自動車産業と日本の自動車メーカーを巡る動きは大きく急旋回し始めている。
そのひとつは、かつて機械産業の過疎地でしかなかった広東省・広州にトヨタ、ホンダ、日産が拠点を構え、さらに東風、裕隆など日本メーカーと深い関わりを持つ台湾企業も集結。今や広州は中国随一の自動車生産の集積地になりつつあることだ。

●ただし伸び続ける自動車需要のなかにおいて、深刻な問題がまったくない訳ではない。それはすでに中国で1600万台の自動車が大地を走り始めているからで、地球規模における環境保護を前に現在の中国には、ジャパニーズスタンダードとは違う発展途上国に合致した新しい低公害車の姿が求められていることである。

●そこで中国・国務院の科学技術部では、来る2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博でのデモ走行を目標に、独自の燃料電池自動車の開発に着手している。
こうした中国独自の構想を背景にした交通社会の構築は、急速な社会発展をスポイルすることなく地球環境に優しい自動車社会を実現しようとする試みとなる。それは中国のみならず、世界の発展途上国の行方をも占う壮大な環境実験になるかも知れない。

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2004/12/29

カー・オブ・ザ・イヤーは誰のもの?

読売新聞に「専門家が選ぶカー・オブ・ザ・イヤーは最新技術や個性的な車が選ばれることもあり、消費者の好みと一致するとは限らない」といった主旨の記事が掲出された。ちなみに今年の「カー・オブ・ザ・イヤーは、日本カー・オブ・ザ・イヤーにホンダ「レジェンド」、RJC カー・オブ・ザ・イヤーに日産「フーガ」が、さらに日本自動車殿堂カーオブザイヤーにはトヨタ「クラウン/クラウンマジェスタ」が選ばれている。

●つまり現在、日本には3つのカー・オブ・ザ・イヤーが存在している。確かに様々な視点でベストなクルマを選ぶ機会は多い方がイイ。ただ偶然とは思うが、結果的に今年は各社の投入した高級セダンがそれぞれ揃い踏みで選ばれたことになる。こうしたケースではある意味消費者にとって、ベストカーがかならずしも車種選択の理由にならならない場合もあるように思う。

●そこで選択枝の一助になるよう、ここではそれぞれの選出団体の背景を紹介してみたい。まず「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を選出する日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は1980年代から始まった。その「目的」や「基本精神」「選考基準」は、同サイトCOTYとはに詳しく出ている。実行委員会そのものは、主催社一覧にもある通り出版メディアが主体だ。

●RJCカ・オブ・ザ・イヤーの主催団体は、日本自動車研究者・ジャーナリスト会議で、同団体は2000年に特定非営利活動法人となっている。第1回の選考は1992年次から。RJC設立の目的・会員資格・活動内容は同Web上で定義が掲げられている。2004年会員名簿によると、団体メンバーには自動車ジャーナリストの他に自動車交通や工学の研究者が含まれていることがわかる。

●自動車殿堂カーオブザイヤーを選ぶのは、自動車殿堂。同団体もRJCと同じく特定非営利活動法人である。自動車殿堂のカーオブザイヤーは同サイトによると2002年からで、今回挙げた3団体のなかで最も新しい。設立主旨選定概要会員については、同団体のWebサイトに掲出されている。

●いずれも団体メンバーには多様な組み合わせがあり、それによって選出基準や対象が異なるということなのだろう。ただ広大とは言え自動車業界における有識者の世界はそれほど広くはない。今回のように同一カテゴリーのクルマが対象となったケースで、これだけ意見が分散すると、消費者はどの団体を信じれば良いのか悩むのではないか。時代は消費者の多彩なニーズに応え多品種少量生産の時代に入っている。現在の選択方法や基準もひとつの方法論とは思うが、ブログサイトの拡大などの背景を含め、「消費者が直接カー・オブ・ザ・イヤー選考に参加できる」。そんなしくみがあっても良いように思えてならない。

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2004/11/07

東京モーターショーの主役

●今年のモーターショーを通じて巷の一般紙では、トラック業界でハイブリッド車の波が到来しつつあると結んでいる。確かに昨今はトラック事業者とはいえ、人家のない郊外に操業拠点を設けるのは難しい。

●そこで一般道に出るまでの短い区間では高速走行時、蓄電池に溜めた電力で住宅街を抜けるキャパシターユニット搭載車や、走行中の減速時に回生エネルギーを回収、加速時のモーター駆動として利用する配送用ハイブリッド車両などに大きな可能性がある。

●実際、こうした車両には政府から補助金が支給されるとあって注目度も高い。
しかし今年のショーは、これまでにない世界最高水準でディーゼルエンジンの低公害化を達成した日産ディーゼルのエンジン技術にも注目したい。

●同社この世界最高水準の「超高圧燃料噴射+尿素SCR触媒」搭載車を早くも今年11月末から日本各地のトラック事業所へ供給し始める。
現在世界規模では、EU圏のトラックメーカーが市場を占拠するなか、低公害化の核となる尿素水の供給体制をも含め、日本国内の下位メーカーである同社が実現させた、そのパワーは並大抵ではない。

●今後はダイムラークライスラーを背景とする三菱ふそうや、業界トップ日野の追撃が始まる訳だが、現時点で日デに追いつくのは難しそうだ。
今後、日本において環境対応技術の主役はどのパワーユニットになるか。その行方は日産ディーゼル工業の新型ユニット「フレンズ」に懸かっていると言えそうだ。

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2004/11/03

福祉車両の安全性

●11月となって早くも3日。まさに秋たけなわを迎え東京モーターショー開幕日と重なった今日。自動車ファンのなかには幕張メッセに足を運んだ方もいることと思う。
今ショーは、ギョーカイで云うところの「裏年開催」であるため、その内容は商用車が中心。このため久々に行ってみた一般公開日は「開催初日」でしかも「祭日」というのに、呆れるほど閑散としている。

●この状態はいつもの東京モーターショーとは雲泥の差。プレスの立場としては、報道発表日に伸び伸び見られるので、あまり偉そうなことは言えないが、普段のショーも今日程度の混み具合なら一般の方はさぞ楽しかろうと思う。

●ちなみに商用車ショーというと、それだけでなにやら寂しげに思えるかも知れない。
けれど人数こそ限られてはいるがショーガールは居るし、普段の生活環境に密着している福祉車両や、移動店舗みたいな架装車も含まれているから自動車イベントとしてはそれなりに楽しめる。

●で本人は、ライターとして普段からトラック系記事にも関わっているので、今日も念入りに会場内を眺めまわしてみた。そんななかでチョット気になるのが近頃の福祉仕様車の動きだ。
特に市販のコンパクトカーの構造を踏襲、後部に車椅子を乗り込ませるクルマが各メーカーで一様に見られるようになった。

●それらは日常の使い勝手を考えると、経済的にも環境負荷の低減という意味でも、大変結構なコトではある。
だが「福祉車両としてパッケージングしました!」というノリなら、もう少し考える余地がある様に思えるのである。

●その多くは、いわゆる「リッターカー」の車体後部に電動昇降装置を組み込むという格好。
なかにはフロア後部への乗降性を高めるため、ボディ骨格の一部を改造して低床仕様にするという凝りようで、日本の自動車メーカーもなかなか研究熱心だ。

●しかし実際に車椅子を載せてみると、どうも納得いかない。というのは車椅子に座っている方の後頭部が、リアのドア付近へ異常に接近し過ぎている様に思えるのである。
もっと端的に言うと、この状態で車椅子の方が守られるだけの充分なクラッシャブルゾーンが「本当に確保されているの?」と思えるクルマが目につく。

●そもそも近頃は、基本形となったコンパクトカーにも三列目のシートを設置して、最大限の乗員数を稼ぐ努力をしているクルマがある。
けれどこういう場合、最後列乗員の安全性とはいかなるものなのかを個人的に疑っている。

●実際ブース担当者に、この件でお伺いをたててみたのだが、残念ながら胸がスッキリするような答えは得られなかった。
どうやらメーカーとしては、昨今都内で走り始めた格安タクシーを筆頭に、福祉系の輸送事業における新ニーズを狙っているらしい。

●昨今は輸送サービスの現場でポランティアやNPOスタイルの「移動サービス」と「タクシー事業者」との間で、「輸送サービス提供には二種免許が必要では…」など色々牽制したりと、全国各地で熾烈なツバ競り合いが繰り広げられている。
一方で、肝心の地方行政側はいつものごとく、なかなか重い腰を上げたがらず、サービス提供を受ける側のお年寄りや障害者が困っているという話も聞いている。

●自動車メーカーとしては、移動に伴う「多彩なニーズを汲む」というのはとても素晴らしいことではある。
けれどもそうした輸送事業に関わる事業者すべてが車両使用に際し「お客様を乗せている」という事実をもう少し深く受け止めて欲しいのだ。

●例えばそれは「タクシー」でも「訪問介護」や「通所介護」を行う事業者でも良い。
いずれもその事業ゆえ、決して健常とは言えないお客様をお乗せする訳で、車両のなかで最も危険度の高いと思われるところへお客様を乗せられないはずだからである。

●なかには「自宅のお年寄りを乗せたい」と願って、こうした車両をお買い求めになる心優しい方もおられるはず。
しかし購入にあたっては、後部の安全性がどの程度確保されているかは、しつこく聞いた方が良い。また電動車椅子を利用している場合は、昇降装置と干渉するケースが結構あるのでくれぐれも慎重に。

●当の自動車メーカーには、せっかく良いコンセプトなのでもう一歩パッケージを煮詰めて頂くことをお願いしたい。
例えば、あまりにも急場しのぎ的ではあるけれど、かつて70年代に流行った5マイルバンパーみたいなコンセプトを発展させ、後部からの衝突安全性を高める構造物を付加すること位はごく簡単にデキるはずだから。

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2004/10/18

自動車盗難の被害者必読! 愛車捜索blogが誕生

●20世紀終盤頃から、高級4WD車をターゲットにした自動車盗難が急増。しかも最近は窃盗の手口がより巧妙・組織的になり、しかも対象車を問わない無節操振りが目立ち始めている。おかげで愛車の盗難被害に肩を落とすドライバーは絶えない。

●もちろん自動車オーナーがそのまま手をこまねいているだけでは、愛車は返ってこないから、イモビライザーなどのエレクトロニクスタイプから原始的なロック装置に至るまで、多彩な自動車盗難防止装置が爆発的に普及するようになった。

●そもそも当初は、大規模な「盗難マーケット」であった米国・西海岸経由で沢山の輸入品が日本国内に流入していたが、今では日本製・海外製を問わず、多数のセキュリティ装置が世の中に溢れ返っている。ゆえに自動車損害保険業界では、こうした自動車盗難装置の「格付けが必要」と言われているくらいの活況さである。

●しかし、以来、自動車盗難そのものは実のところそれほど劇的には減少していないようだ。そんな折り、自動車捜索を社会に広く呼びかけることのできる画期的な愛車捜索依頼blogが、日本のネットワーク上に登場した

●ちなみにこれは数年前からWeb上で盗難車・轢逃げ車 指名手配機構を立ち上げて、盗難車捜索を熱心にサポートしている日本ジャーナル社の活動の一部だ。そもそも同社は、永らくアフターマーケット向けの報道媒体を発行し続けている会社。特に板金整備市場では知らぬ者はいない老舗メディアである。

●Web上の方の活動はすでに自動車雑誌でも取り上げられ ているようだ。で、今回はさらにその活動をblogとして拡張。これによって被害者はより迅速な行動がとれるようになった。

●だいたい盗難されたクルマ達は、そのまま即刻分解されたり、驚くほど迅速に海外に持ち出されたりするので盗難予防は大事だが、もしも盗難されてしまった時は、早期発見でないと手元に愛車が返ってくる可能性は限りなく低くなってしまう。だからこそ折角の公開サイトを活用して自動車盗難を撃退したいと思う。

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2004/10/16

第38回 東京モーターショー開催を前に各社出展概要発表!

●来る11月3〜7日に千葉市の幕張メッセで一般公開される「第38回 東京モーターショー(働くくるまと福祉車両)」。今回は113社が約300台を展示する予定。
まぁCVベースのショーなので、とっても地味で、その規模も乗用車主力で開催する奇数年の同ショーに比べるとホントに小さい。けれど各社共に出展詳細は、すでに発表している。
ちなみにこうしたCV系のショーは、電装メーカーや普段あまり社会に向けてアピールすることがない企業の技術が公開されるので、クルマ好きのオタク系マニアだけなく、社会インフラや交通環境に興味のある向きならきっと愉しめるハズ。

●順を追っていくと、まずは商用車ペースでは業界トップ。近頃は大株主トヨタとの連携で、以前までは単価が低く儲からないと放置していた小型トラック市場に進出している日野は、「安全+環境フロントランナー」をテーマに参考出品車12台(ハイブリッド車6台)、市販車2台、技術展示物3点を出展。
今回のショーでは、ブルー系のカラーがイメージコンセプトらしく、どのクルマもデザイン的には近未来を思わせるものになっている。
目玉は、乗用車との正面衝突被害を軽減する衝撃緩和フロントストラクチャー内蔵の「ASVコンセプトL」。車輪に巻き込み防止カバーを装着、さらにミラーに装備した複数のカメラで周囲の歩行者を確認することで死角ゼロを目指した小型集配トラック「ASVコンセプトC」など、周辺安全に配慮した内容を全面に押し出す。
いずもASVコンセプトということで、通信装置の搭載などITSインフラに対応した装備が搭載されている模様。もちろん定番のパリダカ出場車「日野レンジャー」も出ている。

●日野の豊富な出展構成のなか、親会社たるトヨタは、商用ベースではあるがソフト路線を打ち出している。
ただいつもの乗用車系統とは違い正直言ってあまり派手さがなく、少し寂しい気もするのだが、今回はグループのなかでCVを担う日野に主役を譲った恰好なのかも知れない。
具体的には、メタリックカラーが目印で野外演奏向けの移動音楽スタジオ兼DJブースになる新型「ハイエース」のカスタマイズカー「HIACE Sound Satellite」。レーシングカートを2台積載するスペースを確保、リフトや工具を収納できる大型観音開きバックドアを設定した新型「レジアスエース」のカスタマイズカー「REGIUSACE MY KART FACTORY」。
さらに国内でもラグシー仕様ベースとして考えれば、なかなか面白いと思える米国市場向けV8エンジン+高出力モーターのハイブリッドのフルサイズトラック「FUTURE TRUCK CONCEPT」など参考出品車6台、市販商用車および市販福車両11台の計17台の車両を出展。

ダイハツは、商用車・福祉系スモールカーの未来像を提案。次世代の軽商用コンセプトカー「FFC」、「FRC」、基本性能を一新した新軽商用車「New HIJET CARGO」、「New HIJET TRUCK」、自操式福祉車両「Mira Selfmatic」、ハイブリッド車「New HIJET CARGO Hybrid」などを出品。

●先般、世界初の尿素SCRシステムを実用化した日産ディーゼル工業は、超高圧燃料噴射でPMを低減する新GE13エンジンと、それに組み合わせる尿素水「AdBlue」タンク、NOxを低減する尿素SCR触媒等をフレームに搭載したカットモデルを展示。さらに直噴CNGエンジン搭載の中型CNGトラック「CONDOR(コンドル)」など、燃料経済性と環境対応の両立を実現する車両を6台展示。屋外開催の商用車同乗試乗会では「CONDORキャパシターハイブリッドトラック」に乗ることが可能。

日産自動車は、参考出品車の「キャラバン ボックス イン ボックス」の他、福祉車両ではティーダ「アンシャンテ」を筆頭に軽自動車から商用車・スポーツカーまで幅広いラインナップを展示展開する模様。

●トラックメーカーとしても建設機械、マリン・産業用エンジンでも世界のメジャーブランドであり、FH・FMでディーゼル車に対する東京都環境確保条例・平成17年規制適合を発表したボルボは、主力モデルの環境性能を中核に展開するかたちになりそうだ。

●ダイムラークライスラーの完全連結子会社となったものの、三菱ブランドとして、今回CVシーンを担う三菱ふそうは、なんと展示車が3台だけという寂しさ。東京モーターショーへの出展を大幅に縮小した恰好だ。
その代わりに、同ブースで品質問題がらみのコーナーを設置。同問題や企業文化改革への取り組みについて展開される模様。気になる車両展示は、コンセプトカー「FUSO CONCEPT」、大型トラック「スーパーグレート ハイルーフダンプ」、ハイブリッド小型トラック「キャンター HEV」。

●一方、「ITS世界会議 愛知・名古屋2004」への出展概要を発表したり、また、FIAからWRC不参加の罰金を請求されたりと、何かとお騒がせな三菱自動車
同社は、テレマティクス実験車「iT−グランディス」や、PDAを応用した運転支援システム(レーン逸脱警報システム)など「タウンボックス 車いす仕様車(車高ダウン式)」「グランディス 助手席ムービングシート仕様車」「ランサー セルフトランスポート仕様車」など市販福祉車両を計5台出展。

●1896年にトラックを世界で初めて送り出したダイムラークライスラーは、先般インターナショナルトラックオブザイヤー2004を受賞したACTROSなど、車両安全性や環境性能を全面に押し出した展開になりそうだ。ちなみにACTROSでは、PM低減装置を搭載することなく、東京都環境確保条例、第二次規制をクリアすることを謳っている車両だ。

●経営資源を国際的に活況を極めるディーゼルエンジンビジネスに集中。昨今は乗用車事業撤退もあって、一般ドライバーには馴染みが薄くなりつつあるいすゞは、障害のあるトラックドライバー向けの電動補助装置やクラッチ操作を伴わないMT「スムーサーG」で運転する「ギガマックストラクタ」ベースの車椅子対応福祉車両。生産体制をタイに集約。同国から70カ国に輸出しているピックアップトラック「D-MAX」など12台の車両(参考出品車7台)、9基のパワートレインの他、商用車用テレマティクスを出展。

マツダは、来春モデルの「プレマシー」が出品の目玉。他に「ボンゴバン コンセプト」「ボンゴトラック キャンパー仕様車」。環境技術の「RENESIS水素ロータリーエンジン」ディーゼルの「MZR-CD with DPF」を展示。

スズキは、新型アルトベースのフラワーショップ車「アルト ハートスタンド」など移動販売を目的とした車両など、さすがに堅実性を全面に押し出すスズキらしい出展構成。垂直式ゲートリフトを装着した軽のオートバイ運搬車「キャリイ ゲートリフト式バイクキャリイカー」も出品。

ホンダは、外見は普通のコンパクトカー風でドアを開くとトラック並みの荷物を積載可能なピックアップバン「P・V」。ホビーライフを楽しむ新提案トラック「HOBICK」。車いすドライバーでも愉しめる「アルマスコンセプト」などを出展している。

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