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2009/03/23

次なる100年目への胎動が始まる

〜自動車業界がようやくITを語り始めた〜

●テレマティクスなどを利用し、クルマと外界をつなぐ高度道路交通システム。またクルマそのものの制御回路を無線化するバイワイヤ技術。
実は自動車業界において、ハードウエアと情報技術との融合に取り組んできた歴史は意外に旧く、1980年代からのASV(AdvancedSafetyVehicle)構想など、他の工業製品に先駆けて語られてきた。

●それから30年余りが経った今日。世界の自動車メーカーは「夢のクルマ造り」よりも、その間、事業体制の国際化に伴う激しいマーケットシェア争奪戦を繰り広げてきた経緯から、クルマの劇的な進化を心待ちにしていたオーナードライバーたちは、PCの世界で大きく進化を見せた情報技術の影響を、クルマ社会ではあまり実感できないまま新世紀を迎えている。

〜クルマが基幹システムにOSを求め始めた〜

●その流れに新たな変化が訪れたのは、昨年初頭から始まった原油価格の高騰と、それを追いかけるように同年晩秋にやってきた米国発の金融クライシスである。
これをきっかけに、日本ではPlug-inHybridCar(PHEV)の実用化に拍車が掛かり、米国ではPHEV開発を一気に飛び越えて、Electric Vehicleの製品化を推し進める構えだ。これにより、ようやくクルマの世界にも、自動車全域の統合制御を可能とする本格的なOperatingSystem(OS)を求める時代がやってきた。

●現実には、現行車1台あたりにおいても、ワイパー機能やブレーキアシスト機能、IDチップのコード照会を行うイモビライザ機能、エアバック等の走行制御や、現在の自動車では心臓部にあたるエンジン制御など、様々な機能領域でマイクロプロセッサと入出力モジュールで組み立てられたElectronicControlUnit(ECU)と呼ばれる制御用コンピュータが組み込まれている。
しかし今後はクルマの運動性能や環境性能、安全性能の実現。さらに、より低環境負荷へ貢献できる動力システムを実現するため、近未来のクルマでは1台あたり100個を優に超えるECUの搭載が必要になると言われている。

〜もはやガソリンだけでクルマは走らない〜

●このように1台のクルマに多くのECUが搭載していくようになると、ひとつの動作だけでも複数のECU間を協調制御していく必要が出てくる。つまり自動車全体のシステムをより複雑かつ統合的に制御していけるOSの存在が必要不可欠になるのである。
加えてECUそのものの数が加速度的に増えていくということは、製造コストやそもそもECU自体の設置スペース上の問題も発生する。したがって複数の機能をひとつのECUで実現していくことも確実に求められるようになるだろう。

●特にクルマは、天候や乗車定員、速度や走行部品の摩耗など、走行条件が複雑かつ場当たり的に変化するため、実走行データに臨機応変に対応していけるソフトウェアプログラムの高い柔軟性が欠かせない。
また今後、自動車開発は旅行や買い物など、乗車1回あたりの走行距離の違いや利用ニーズの多様化に伴い、多品種・少量生産対応が車両開発および販売のマストスタイルになってきているため、組み込み部品の変更や、プログラムの置き換え上、優位かつ容易なOSの利用は避けては通れない。

〜プログラムがクルマ社会を変える時代に〜

●思えば自動車創世記の1800年代には、クルマの適切な動力源として、蒸気や電気など様々なパワーユニットが試され、その結果、1886年にドイツのKarlFriedrichBenzがガソリン自動車の開発に成功。それを追いかけるように米国のHenryFordが「Ford ModelT」の生産を開始(1908年)。以来、内燃機関をベースにした乗り物の歴史が幕を開けてから今年は丁度100年の節目を迎えている。

●クルマ社会は内燃機関をベースに、メカニズムのすり合わせ技術を育んだ時代から、電気を主動力としたプログラム技術が主役となる自動車の時代へと移るのか。2000年台という新たな世紀を迎えて8年目の今年。自動車技術の世界は、ここにきて大きな時代の変革期を迎えているのかも知れない。

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