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2008/01/01

高速道・通行料金の値上げにクサビを打て!

〜首都高・新料金案に2万人が意見〜
●2007年も押し迫った12月31日。YOMIURI ONLINEに、「首都高・新料金案に2万人意見、84パーセントが上限下げるべき」という記事が掲載された。
詳細は「読売新聞」または「YOMIURI ONLINE」をご覧頂きたいと思うが、2007年9月に首都高速道路株式会社から、彼らのステークホルダである関連業界・政府・一般に向けて、普通車1200円・大型車2400円を上限に、距離別の段階的な通行料金を導入したいとするアドバルーンが挙がり、これに対して運送業界を中心に「実質的な値上げにほかならない」との反発意見が大勢を占めたのである。

●具体的には、今年9〜12月まで首都高速道路株式会社のホームページ等を通じておこなわれたパブリックコメント(意見募集)で、延べ2万1125人が回答。1200円の上限料金の設定について、84パーセントが「引き下げるべき」とし、「やむをえない」(11パーセント)や「適切」(5パーセント)の容認派を大きく上回った。
パブリックコメントには、トラック運転手などの職業ドライバーや輸送系企業だけではなく、一般ドライバーからの反対意見も数多く含まれており、この結果は、当初、来春までに方針をまとめたいと云っていた同社の決定に影響を与えるだろうし、また首都圏道路計画についての過去の経緯から考えても、そうでなければならない。

〜新料金適応後のドライバーへの恩恵は軽微〜
●ちなみに当サイトの来訪者各位には、釈迦に説法かと思うが、首都高速道路株式会社の提案する通行料金の詳細は、現行で普通車が一律700円のところが通行料金を距離に応じて400~1200円になる。大型車(目下1400円)は、800~2400円にしたいと同社では考えているようだ。
またこれはETCの利用が前提で、適応されると走行距離10キロ未満の場合のみ値下げになり、10キロ以上19キロ未満は同額に、19キロ以上は値上げになる計算だ。

●同社ではこの流れを加速するべく、ETCの積極運用を求め、横浜湾岸線の割引実験など様々な取り組みを積極展開中である。
一方、現時点でETC利用を選択していないドライバーに向けては、「東京X」と呼ばれる新料金支払いシステムの模索を並行して計画中という。ただ現時点で現金払いの選択しか持ち合わせていない利用者であるなら一律、普通車1200円、大型車2400円の上限料金が首都高速道路の通行料となってしまう。

〜利用者へ還元されない民営化の見返り〜
●実のところ最大の問題はここにある。現通行料金の上限である700円で走れる距離が、改訂されるとたったの19kmまで(10kmから19km)となってしまうからだ。それ以上走れば距離に応じて料金は32.5km以上になるまで加算されていく。
ゆえに残念ながらETCの利用の有無を問わず、多くの利用者にとって、新しい価格改定は、通行料金値下げの恩恵には決してあずかれないしくみということなる。

●そもそも首都高速道路の通行料金に関しては、道路建設当時の政府公約ではなかったかも知れないが、「将来は無料になるという」をふれこみで始められた。
そしてそれが何度となく先送りになった末に、小泉改革の渦中で首都高速道路は公団から民営化された。今回の動きは、その際の公約を果たすための料金値下げであるのだろう。

〜距離別料金制は最強のETC普及策〜
●けれども折角、民営化された首都高速道路株式会社なのだから、パーキングエリアにおけるビジネス展開など、収益拡大のための可能性は他にも残されているのではないか?率直な話、普段、慎ましくスーパーマーケットやコンビニで買い物をしている庶民感覚で捉えると、どうして現在の通行料金である700円がイキナリ倍近い1200円に値上げされてしまうのか理解に苦しむ。

●むしろ全国に点在する各道路運用会社は、人員削減を筆頭とする自社経費のコストダウンのため、道路を使ってくれているユーザーにETC機器を購入させるという負担を強いてまで、個人情報の取扱面で一抹の課題が残る現行ETCの普及を一心不乱に進めている。距離別料金制の導入は、そうした意味で、「最強のETC普及策」と云う穿った見方もできるのである。

〜交通行政を真摯に捉えた対策が不可欠〜
●ただその内容からみて、簡易版というより「次世代型ETC」とも云える「首都高X」を含め、ETCそのものは世界に誇れるしくみであるのだから、距離区分の最小料金単位を100円や50円からのスタートにするなど、細かく運用管理することも可能なのではないのか。
先に開通した首都高速中央環状線の世界最先端トンネルもイイのだが、今回取り上げたニュースは生活密着という切り口で、より重要かつ注目すべき話題のハズである。

●首都高速道路株式会社は、申請案を2008年春までにまとめ、2008年秋から距離別料金への移行を目指す。しかしあくまでも同社から発表された料金案は「意見募集案」であり、決して決定したものではない。
話題と云えば、かつて首都高速道路についての報道で一時期、フリーウェイクラブが注目を集めた。
道路行政に対するこうしたタイプの市民レベルの抗議は、違法性が強く、決して勧められるものではないが、社会や自然環境と折り合いをつけ「自動車で生活の質を高めること」には、例え市民レベルであっても、まだまだ成長の可能性が残されている。
時代が「環境の世紀」を迎えた今日。今回のような曖昧な距離別料金制導入は、新たなクルマ社会を生み出す原動力にはならない。むしろ交通・流通網に対する無計画な経済圧迫は、早晩、消費者を直撃するだろう。

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コメント

いつも拝見させていただいております。私ももちろん高速道路料金値上げには大反対です。またETCの個人情報取り扱いについて、確かに不安ですね。
今後も勉強になる記事を楽しみにしております。

投稿: ゴルフGTIオーナー | 2008/01/09 15:20

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