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2007/09/03

自動車ディーラーが消える日

〜好景気でもクルマは買わない・売れない時代〜
●2007年の日本経済は企業収益を中核に大変な好景気であると言われている。けれども自動車業界において、新車販売台数の低迷は依然下げ止まる気配を見せない。
それは自動車マーケットにまつわる関連の数値データを細かく紐解いていくと明白だ。

●例えば自販連発表の月間登録車(除・軽自動車)は24ヶ月連続の減少。上半期台数(1〜6月)での累積数値も178万8,440台と、その成績は1977年上期(174万2,109台)以来、実に30年ぶりの低レベルにある。
さらにバブル崩壊以降に若干名の波乱はあったものの、永らく地方都市を舞台に辛うじて好調を維持してきた軽自動車市場も、実に4年ぶりの減少傾向へと、その舵をゆっくりと切り始めている。

〜感動体験を与えられないカーマーケットのジレンマ〜
●実際、人類の経済水準が永遠に上昇していくという発想はすでに20世紀で幕が降りた。
もはやそれは幸福な資本主義理論で組み立てた砂の城でしかなく、そもそも資本主義の真理を考えれば、自動車登録台数が未来永劫、常に加算されていくとは筆者も考えていない。

●ただ自動車マーケットの低迷は、環境問題や交通政策の悪化に加え、過去に幾つもの大きなエクスペリエンスを提供してきた自動車マーケットそのものが行き詰まりを見せ始めている証拠ではないかと思えてならない。

〜クルマを通して新しいライフスタイルを打ち立てるべき〜
●このエクスペリエンスとは「新たな感動」や「体験」という概念だ。
例えば、今やカーオーディオの世界をも駆逐していく勢いのApple社のipodは、かつてソニーが提案した「音楽を屋外に持ち出す」という考え方に「ポッドキャスティグ」という新たな体験をさらに付け加えることで、人々がそれまで図らずも妥協を重ねてきたものを打ち破る音楽スタイルを打ち立て、既存の社会環境を大きく変革させた。

〜クルマそのものが使えない、愉しめない妥協の産物に〜
●しかし今の自動車環境は、それらとまったく逆行している。
つまりこれまでは人々が妥協してきたものをことごとく打ち破り続け、「移動することの自由を得る素晴らしさを提供し続けてきた自動車」が、今は逆に「使えない理由」を指折り数えられる存在になってしまい、「移動の自由は自動車で得なくてもイイ」と、むしろ妥協の産物化してしまう時代に入ってきているように見えるのである。

〜延々と冷え込み続ける個人需要を打破せよ〜
●その根拠のひとつとしてクルマに対する個人需要が一向に改善されないことがある。
今日の経済社会の「需要動向」を、より小さなグループ単位で細分化していくと、最後は個々の家計消費に行き着く。そしてそうした家計消費における動機付けにおいて妥協の産物化という位置づけは、自動車を買うことへのマインドの低迷につながる。

●それが結果、クルマに対する購入機会が延々と後回しになっている原因ではないか。
こうした考えには他にも多様なファクターがあるとは思うが、自動車を手に入れるための複雑な手順も、そうした「妥協すること」への段階への一要因になるのだろう。

〜日本独自の市場性・課題を克服することへと動け〜
●というのは、海の向こうの米国で消費者が購入したいと思うクルマがある場合、思い立った当日にディーラーの展示場から乗って帰ることが可能だからだ。

●一方、日本のディーラーでは、店頭で例え「そのクルマを欲しい」と思っても、希望のクルマが届けられるのは、実発注後に遠く離れた地方の生産工場で組み立てられた後の数週間・数ヶ月後の話になってしまう。
さらにナンバー取得までの面倒な手続きルートも踏まないと、お目当てのクルマの入手は絶対に不可能な環境である。

〜クルマ好きを冷めさせない配慮が今の環境にあるか?〜
●つまるところ自動車を買い入れる際、日本の消費者の購入マインドは、どうしても冷え込み気味になる訳だ。
ただ自動車購入ルートの障壁を改革・削減していくことは、政府による管理体制の徹底がマストな日本社会において、解消不可能だろう。
ならば別の解決策を見つけなければならない。

●その突破口のひとつが、消費者を冷めさせないための個々のクルマのブランド化である。例え高級車とは謳っていても結局は、不特定多数へ向けた極めてsocialな販売スタイルを取る日本国内市場における「トヨタ・レクサス」もこれにあたる。

〜メーカーとのダイレクト化で自動車ディーラーは蚊帳の外へ〜
●そうした自動車商品のブランド化というのは、いわば消費マーケット上で商品情報をメーカーが主導してコントロールすることにより、「買い手側の口コミ」を醸成していくことである。
これがクルマの品質保証になり、ひいてはこの付加価値が、熱しやすくて冷めてやすい消費者の購買リスクを解消する役割も担う。

●今後、ハードディスクレコーダーの普及などハードウェア面の技術革新に加え、ソフト側でも情報伝達手段の多様化により、テレビコマーシャルの訴求力が大きく低下するだろうから、商品性を伝える伝道師役としてリアル店舗の存在価値はある程度必要にはなる。

●しかし一方で個々のクルマのブランド化が充分に確立し、インターネットを介したBTO体制が完備してしまえば、現在の自動車ディーラー数は縮小しなければならず、求められる役割も大きく様変わりするだろう。

〜過酷になる自動車ディーラーの存在価値と役割〜
BTO販売による消費者とメーカーとのダイレクト化で、これまでメーカーからの車両ブランドの割り当ての沿って、地道な販売計画を立てていけば、今日までメーカーによる車種割り当てを介して成り立っていたディーラー網が崩れ、どの車種を取り扱っても良い戦国時代を迎える。
このためトヨタ日産ホンダを筆頭に、各傘下ディーラーは近隣店舗との生き残り競争の矢面に立たされることになるのだ。

〜自動車ディーラーが消滅する日〜
●思えばかつて自動車メーカー間による資本統合で、「400万台クラブを目指した生き残り競争が始まった」と報道されたことがあった。しかし実際にはそうした生存競争は想定していたほど激しいものでなく、むしろ統合を廃止する動きも一部にみられるほど。

●むしろ今後は、クルマの買い替えサイクルの長期化により代替期間の延長分だけ耐久性の高い上級車移行の可能性が出ていることから、軽自動車トップに君臨し続けてきた王者スズキが軽自動車マーケットからの拡大を求めて普通自動車市場へ本格進出を果たすなど、自動車マーケットの優勝劣敗のシナリオはこれからが本当の過当競争に突入する。

●もともとメーカー系の正規自動車ディーラーといっても、基は地域の資産家による独立経営が本質だ。かねてより語られてきた自動車メーカーの生き残りの行方はもとより、むしろあなたの身近にある馴染みのディーラーが突然消失する事態もあながち噂レベルでは終わりそうでない勢いである。

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