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2005/07/19

コルベットも冠するシボレーのボウタイマークにまつわる伝説

●GfK Automotive社が調査した米国自動車オーナーの「次に購入したい新車」男女別ランキングで、男性が指名した首位のクルマは「Porsche 911」、女性の指名首位は「Pontiac G6 Convertible」と、男性がクルマに対して絶対性能の高さやデザインを好む一方で、女性は堅実に車両価格や実用性を重視する傾向が表れたという。
どうやら世の東西を問わず、速く美しいリアルスポーツカーを求める男のわがままは尽きることはないようだ。

●そんな我らが日本の誇るリアルスポーツカーといえば、前々回で話題に挙げたNSX。または旧いところではトヨタ2000GTあたりかとも思うが、海の向こうの米国では1台のスポーツカーブランドが半世紀を超える歴史のなかで時を刻み今も走り続けている。
いやそれだけではなく、去る6月にはルマン24時間でクラス優勝。さらに続く7月には、コネチカット州レイクビル・ライムロックパークで建国記念日に行われたALMSことAmerican Le Mans Series(アメリカン・ルマン・シリーズ)第4戦で、ワン・トゥ・フィニッシュを飾るほどの元気の良さを見せている

●そのクルマはシボレーコルベットである。なんと同車は最新モデルのC6になってから、世の中の流れとは逆行するように車体のコンパクト化を果しており、自慢のOHVのスモールブロックはいささかアメリカンフィーリングが薄らいだような気もするのだが、その分、世界に数多有るリアルスポーツカーに対抗しうる絶対性能を備えるに至っている。
まさに米国人にとってシボレーは誰もが知るスポーツブランドであり、その名はヨーロッパ的な音の響きを持つことから人気が高い。またご当地の米国では、熱狂的なシボレー系エンスージアストをシボレーに冠されているマークから連想して「ボウタイピープル」と呼んでいる。

●それほど「シボレー」と「ボウタイ」は、永きに亘って切っても切れない密接な関係がある。逆にいうと20世紀初頭のカーブランドのなかで、ボウタイマークは押しも押されぬスポーツ心を表す象徴だったのである。
しかし一方でこのボウタイマーク誕生の経緯については、絶対的な裏付けがないまま今日でも複数の説が唱えられている。

●シボレーの生みの親であるルイ・ジョセフ・シボレーはフランス人で、彼は母国フランスで樽からワインを抽出するためのポンプを発明したり、自身が設計した自転車でレースに参加するなどなかなかの活動家だった。
そんな彼がさらなる活躍の場を求め高度成長真っ直中のアメリカにやってきて、米国の自動車レースの世界でナンバーワンレーサーの称号を獲るまでには、それほど時間は掛からなかったようだ。

●そんな彼に目を付けたのが、現在の巨大自動車メーカーGMの育ての親であり、後に意外な運命を辿ることとなるビリー・デュラントだった。デュラントはシボレーの名声を武器に新ブランド「シボレー」の創設したのである。
そこで生まれたのがシンボルのボウタイマークだ。そのマークについて1961年に発行されたシボレー・ストーリー50周年号からなる説のひとつでは、デュラントが1908年、フランスで滞在したホテルの壁紙の一部を「素晴らしいネームプレートになる」と、その一片を持ち帰ったいうものがある。

●ふたつ目の説は1912年、アメリカ南部バージニアにある温泉ホテルのスイートルームで、ふと眼にした地方新聞の広告に載っていたボウタイマークを、デュラントが気に入り「これはシボレーに相応しい紋章になると思うよ」と、妻のW.C.デュラン夫人に語ったという説。
さらに「ある夜、スープとフライドチキンなどが並ぶデュラント家の夕げのテーブル上で、デュラント自身がスケッチしたと思う」と、娘マージョリー・デュラントが1929年に「私の父」で記した説もある。

●1986年に刊行されたシボレー・ストーリー75周年記念誌では、こうしたボウタイマーク誕生の秘話について、ビリー・デュラント自身がパリのホテルの話と妻の新聞説の双方を認めたとされている。これを執筆したシボレー・メディアプロダクションによると「マークの出生がどんな形であれ、ボウタイは今日のシボレーのトレードマークであることに変わりない」と述べたという。

●ちなみに1900年当時の南部地方紙には「サザン・コンプレスド石炭会社」が掲載したボウタイ広告が現実に存在していて、そこにはCから始まる「コーレッツ」という9つの文字列のなかで中央のEを大きく強調、何げにフランス風に読ませる工夫など、ある意味シボレーのボウタイマークと良く似ている。

●このコーレッツというのは、小さいとか小型であるという意味の造語だそうで、新聞広告には円の中に「たくさんの熱を作り出す小さな石炭」というスローガンが描かれている。
サザン・コンプレスド石炭会社のマークとの関連性という意味では、デュラントが創生期に造った「リトル・モーター自動車会社」のマークが丸いネームプレートの紋章で、なかに「little」が書き込まれ、内側に「赤く熱する」背景が描かれている。

●ちなみにサザンコンプレスド石炭会社がボウタイロゴをこのようにデザインした意図は、一般大衆がこの造語を発音し易くするためだったといわれている。こうしたことを考えると、デュラントはこの発想をヒントに「シェヴ・ロ・レイ」と言う読み方を発明したのかもしれない。

●双方の紋章は背景が暗く、白の境界線と白字を使用しており、違いはコーレットの方が流れる様な傾体文字で描かれているのに対して、シボレーの方はローマ調文字で中央の3文字分が若干角張っている。
果たしてデュラントは将来の参考として、サザンコンプレスド石炭会社のマークを新聞から切り取って保存していたのだろうか。今となってはそれを完全に解明する術はないようだ。

●その後、シボレーのボウタイマークはブルーにシルバー枠を基調とした立体タイプや、スポーツイメージを強く打ち出した赤いシルエット。ライトトラック用に採用するゴールド基調など多種多様になっている。
しかしどれも高いデザイン性と強い訴求力で、シボレーのイメージを高めていることは確かなようだ。

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