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2005/07/28

スバル経営陣の選択肢で六連星の輝きが決まる

●先に経営再建中のカネボウから次世代電池事業を買い取ったばかりの富士重工業だが、この程、瞬間的な電流出力を電気2重層キャパシタと同等レベルに高めつつ、体積当たりのエネルギー密度が従来比の2倍〜3倍となるハイブリッド車向けキャパシタ技術を発表した。

●同社はここ20年来の経済変動のなかで、バブル絶頂期の1989年に営業赤字を計上し、一方でバブル崩壊以降は黒字化。
さらに2000年以降、過去最高の業績を維持するという一般の市場経済の常識では考え難い業績推移を今だに刻み続けている不思議な自動車メーカーである。

●裏を返すと同社にとって経済変動はまったく傷害ではなく、むしろ景気に頼らない熱狂的なファンの動向が生命線ということになる。
だからこそ今後の成長は、そうした熱狂的なスバリスト以外のファンをどれだけ誘引できるかに懸かっている。

●そんな富士重工業は、お馴染みのロビンブランドの発電用原動機の他、旅客機体製作、自衛隊向けの支援戦闘機をも手掛ける複合企業で、そのルーツは、戦闘機「隼」を生んだ「中島飛行機」が原点だ。

●中島飛行機は敗戦後、平和産業に転身するべく「富士産業」に改称するも、1950年の財閥指定で結局12社に分割されており、企業復興の道程は他の自動車メーカーに比べ大きなハンディキャップを背負うこととなった。

●それでも小型モーターやミシン、トラクターなど造れるものなら何でも手掛けるというなりふり構わぬ企業活動で生き残りを図った末、1953年に旧中島グループ5社が合併を前提に富士重工業を設立。1955年に出資5社を吸収合併するかたちで現在の富士重工業が誕生している。

●そして1958年の政府の国民車構想を受け、同社が発表した「スバル360」は、月間1万台以上のセールスを記録。これを契機に自動車メーカーとしての基盤を固め、1965年にFF小型乗用車「スバル1000」を発売。1968年には業容拡大を目指し日産自動車と業務・資本提携。1972年には、初の4WD車「スバルレオーネ4WDバン」を発売した。

●以降、1980年代の終盤からは米国での現地生産工場の立ち上げ、新型レガシィの開発、エンジン工場の移転など相次いで大型投資を敢行。これらによる過大な資本投下が裏目に出て赤字を計上する結果となってしまう。

●しかし不幸中の幸いというべきだと思うが、日本経済が絶頂を極める環境下で設備投資の絞り込み、購買システムを全面改訂を行うなど、図らずも基礎体力の強化を行う結果となった。それにより年を追う毎に厳しくなる燃料規制や環境規制の本格施行を前に、欧米メーカーとコンタクトをつなぐ好機にも恵まれている。

●そして1999年、遂に米国GMと資本提携を締結。さらに同じGMグループの一員としてスズキとも資本・業務締結を果たしている。このGMとの関係はフォレスターをGMインドの販売網からシボレーブランドで発売。サーブ9-2xの共同開発に着手するなど、今日着々と強化されつつある好材料のひとつとなっている。

●さらに2003年には、新中期経営計画「FDR-1」フジ・ダイナミック・リボリューション1に添って、社内カンパニー制の導入と不採算事業からの撤退を断行。
具体的には鉄道車両事業、バス車体事業の新車生産を終了し、翌2004年にはハウス事業を営業譲渡したことで、現在は航空機産業・産業機器・自動車生産・開発の三部門に経営資源を集中している。

●ただ潤沢な資本も巨大な販売網も持っている訳ではない同社だけに、持ち前の優れた技術や人材をどの方面に集中投入するかで、企業の浮沈そのものが決まってしまう可能性が大きい。
2003年にフルチエンジを果たしたレガシィが、初代からの累計で100万台を超えるなか、新たなハイブリッド技術を既存のファン獲得に使うのか、またはマニア層ではない一般ユーザーの獲得に振り向けるのかが今問われている。

●思えばスバルマークの原点は、六連星(むつらぼし)と呼ばれるプレアデス星団の名前がルーツで、マーク内の小さい星が分割された会社群と云われ、大きい星が統合後の富士重工業を示すと云われている。
かつて企業の総合力が削がれた厳しい戦後をくぐり抜け、会社統合時にいつまでも輝き続ける星のようでありたいと願った星が、今後も輝き続けるかどうかはトップの経営判断に握られている。

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