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2005/07/16

三菱自動車から離れたFUSO、事業の国際化で大輪の花が咲く可能性も

●三菱自動車の本社移転(前本社所在地への出戻り)を受け、FUSOこと三菱ふそうトラック・バス株式会社の新社長(6月27日付けで就任)ハラルド・ブルストラー氏は、開発・生産拠点のある川崎製作所の近くに本社を移転させたい意向という。

●2001年に、トラック・バス事業の戦略提携パートナーとしての役割をABボルボ社から引き継いだダイムラー・クライスラーは、様々な騒動にもまれながらも、遂にFUSOを手中に収めた。
しかし2004年6月、前会長を含む役員や幹部経験者の逮捕者を出したFUSOに「果たしてそれだけの魅力があるのか」と、いぶかる向きは多いと思う。

●ただあれだけの不祥事を出し、さらに再リコール車のボルトが脱落・折損して走行不能になるトラブルを起こすなかでも、FUSOは依然、国内商用車市場で25%のシェアを確保。2004年3月の連結決算では、有利子負債773億円削減、国内車両販売49%増、同海外7%増を達成している。
これはかつての親会社三菱自動車よりも企業回復が早いことを意味しており、今後どれだけドライになれるかが未知数の三菱自動車よりも、現時点でドライな経営ができるFUSOの方が有利だ。

●ちなみにここで、三菱自動車とダイムラークライスラーのFUSOへの出資比率を紐解くと、2003年時点ではダイムラークライスラー43%、三菱自動車工業42%、三菱グループ15%。2004年3月に三菱自動車工業が半分の保有株をダイムラークライスラーに売却。2005年にリコール問題から生じた財務賠償案として三菱自動車工業がダイムラークライスラーへ保有株式残20%を譲渡。これにより出資比率はダイムラークライスラー社85%、三菱グループ15%となっている。

●生産・開発拠点も豊富で、栃木県さくら市にはトラック・バス用として世界最大級の高速周回路を備えた喜連川研究所が、川崎市中原区にはエンジン生産と開発を担う川崎製作所/技術センター。神奈川県愛甲郡愛川町にはトランスミッション用歯車の製造を担う中津工場。名古屋市港区本星崎町には小型バスローザの生産拠点の大江バス工場。富山県婦負郡婦中町には大・中型のバスを主体に生産する三菱ふそうバス製造。埼玉県北本市には鋳造・鍛造・アルミダイカスト製品を手掛ける三菱ふそうテクノメタルがある。

●また三菱ふそうは未来に向けて、自動車メーカーとして最も有利な源泉を持っている。それは1932(昭和7)年に旧三菱造船と神戸造船所とで完成させ、愛称募集から生まれたB46型ガソリンバス扶桑(ふそう)に始まる「FUSOブランド」への思い入れが強く熱狂的ともいえるファンの存在である。
度重なる不祥事のなかでマスコミが叩くFUSOを支え続けたのは、実のところFUSOの重役や技術陣ではなく、FUSO車オーナーである地方の運輸事業者の力が大きかった。

●それでもバスの導入では過去FUSOオンリーだった拠点が、競合4メーカー入札に流れているのは間違いない。このためFUSOは世界最大の商用車部門を擁するダイムラー・クライスラーとの国際協業を糧に若手社員を配して事業の国際化に走っている。
グループ戦略上、特にアジアの開拓に注力することになる同社だが、幸いかつての三菱グループを背景に国際協業にはアドバンテージもある。ハイビスカス(扶桑花)の名の語源で知られるFUSOは、かつての親と離れたことで、将来意外な大輪を咲かせる可能性が見えてきている。

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