カー・オブ・ザ・イヤーは誰のもの?
●読売新聞に「専門家が選ぶカー・オブ・ザ・イヤーは最新技術や個性的な車が選ばれることもあり、消費者の好みと一致するとは限らない」といった主旨の記事が掲出された。ちなみに今年の「カー・オブ・ザ・イヤーは、日本カー・オブ・ザ・イヤーにホンダ「レジェンド」、RJC カー・オブ・ザ・イヤーに日産「フーガ」が、さらに日本自動車殿堂カーオブザイヤーにはトヨタ「クラウン/クラウンマジェスタ」が選ばれている。
●つまり現在、日本には3つのカー・オブ・ザ・イヤーが存在している。確かに様々な視点でベストなクルマを選ぶ機会は多い方がイイ。ただ偶然とは思うが、結果的に今年は各社の投入した高級セダンがそれぞれ揃い踏みで選ばれたことになる。こうしたケースではある意味消費者にとって、ベストカーがかならずしも車種選択の理由にならならない場合もあるように思う。
●そこで選択枝の一助になるよう、ここではそれぞれの選出団体の背景を紹介してみたい。まず「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を選出する日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は1980年代から始まった。その「目的」や「基本精神」「選考基準」は、同サイトCOTYとはに詳しく出ている。実行委員会そのものは、主催社一覧にもある通り出版メディアが主体だ。
●RJCカ・オブ・ザ・イヤーの主催団体は、日本自動車研究者・ジャーナリスト会議で、同団体は2000年に特定非営利活動法人となっている。第1回の選考は1992年次から。RJC設立の目的・会員資格・活動内容は同Web上で定義が掲げられている。2004年会員名簿によると、団体メンバーには自動車ジャーナリストの他に自動車交通や工学の研究者が含まれていることがわかる。
●自動車殿堂カーオブザイヤーを選ぶのは、自動車殿堂。同団体もRJCと同じく特定非営利活動法人である。自動車殿堂のカーオブザイヤーは同サイトによると2002年からで、今回挙げた3団体のなかで最も新しい。設立主旨、選定概要、会員については、同団体のWebサイトに掲出されている。
●いずれも団体メンバーには多様な組み合わせがあり、それによって選出基準や対象が異なるということなのだろう。ただ広大とは言え自動車業界における有識者の世界はそれほど広くはない。今回のように同一カテゴリーのクルマが対象となったケースで、これだけ意見が分散すると、消費者はどの団体を信じれば良いのか悩むのではないか。時代は消費者の多彩なニーズに応え多品種少量生産の時代に入っている。現在の選択方法や基準もひとつの方法論とは思うが、ブログサイトの拡大などの背景を含め、「消費者が直接カー・オブ・ザ・イヤー選考に参加できる」。そんなしくみがあっても良いように思えてならない。
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