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2004/11/03

福祉車両の安全性

●11月となって早くも3日。まさに秋たけなわを迎え東京モーターショー開幕日と重なった今日。自動車ファンのなかには幕張メッセに足を運んだ方もいることと思う。
今ショーは、ギョーカイで云うところの「裏年開催」であるため、その内容は商用車が中心。このため久々に行ってみた一般公開日は「開催初日」でしかも「祭日」というのに、呆れるほど閑散としている。

●この状態はいつもの東京モーターショーとは雲泥の差。プレスの立場としては、報道発表日に伸び伸び見られるので、あまり偉そうなことは言えないが、普段のショーも今日程度の混み具合なら一般の方はさぞ楽しかろうと思う。

●ちなみに商用車ショーというと、それだけでなにやら寂しげに思えるかも知れない。
けれど人数こそ限られてはいるがショーガールは居るし、普段の生活環境に密着している福祉車両や、移動店舗みたいな架装車も含まれているから自動車イベントとしてはそれなりに楽しめる。

●で本人は、ライターとして普段からトラック系記事にも関わっているので、今日も念入りに会場内を眺めまわしてみた。そんななかでチョット気になるのが近頃の福祉仕様車の動きだ。
特に市販のコンパクトカーの構造を踏襲、後部に車椅子を乗り込ませるクルマが各メーカーで一様に見られるようになった。

●それらは日常の使い勝手を考えると、経済的にも環境負荷の低減という意味でも、大変結構なコトではある。
だが「福祉車両としてパッケージングしました!」というノリなら、もう少し考える余地がある様に思えるのである。

●その多くは、いわゆる「リッターカー」の車体後部に電動昇降装置を組み込むという格好。
なかにはフロア後部への乗降性を高めるため、ボディ骨格の一部を改造して低床仕様にするという凝りようで、日本の自動車メーカーもなかなか研究熱心だ。

●しかし実際に車椅子を載せてみると、どうも納得いかない。というのは車椅子に座っている方の後頭部が、リアのドア付近へ異常に接近し過ぎている様に思えるのである。
もっと端的に言うと、この状態で車椅子の方が守られるだけの充分なクラッシャブルゾーンが「本当に確保されているの?」と思えるクルマが目につく。

●そもそも近頃は、基本形となったコンパクトカーにも三列目のシートを設置して、最大限の乗員数を稼ぐ努力をしているクルマがある。
けれどこういう場合、最後列乗員の安全性とはいかなるものなのかを個人的に疑っている。

●実際ブース担当者に、この件でお伺いをたててみたのだが、残念ながら胸がスッキリするような答えは得られなかった。
どうやらメーカーとしては、昨今都内で走り始めた格安タクシーを筆頭に、福祉系の輸送事業における新ニーズを狙っているらしい。

●昨今は輸送サービスの現場でポランティアやNPOスタイルの「移動サービス」と「タクシー事業者」との間で、「輸送サービス提供には二種免許が必要では…」など色々牽制したりと、全国各地で熾烈なツバ競り合いが繰り広げられている。
一方で、肝心の地方行政側はいつものごとく、なかなか重い腰を上げたがらず、サービス提供を受ける側のお年寄りや障害者が困っているという話も聞いている。

●自動車メーカーとしては、移動に伴う「多彩なニーズを汲む」というのはとても素晴らしいことではある。
けれどもそうした輸送事業に関わる事業者すべてが車両使用に際し「お客様を乗せている」という事実をもう少し深く受け止めて欲しいのだ。

●例えばそれは「タクシー」でも「訪問介護」や「通所介護」を行う事業者でも良い。
いずれもその事業ゆえ、決して健常とは言えないお客様をお乗せする訳で、車両のなかで最も危険度の高いと思われるところへお客様を乗せられないはずだからである。

●なかには「自宅のお年寄りを乗せたい」と願って、こうした車両をお買い求めになる心優しい方もおられるはず。
しかし購入にあたっては、後部の安全性がどの程度確保されているかは、しつこく聞いた方が良い。また電動車椅子を利用している場合は、昇降装置と干渉するケースが結構あるのでくれぐれも慎重に。

●当の自動車メーカーには、せっかく良いコンセプトなのでもう一歩パッケージを煮詰めて頂くことをお願いしたい。
例えば、あまりにも急場しのぎ的ではあるけれど、かつて70年代に流行った5マイルバンパーみたいなコンセプトを発展させ、後部からの衝突安全性を高める構造物を付加すること位はごく簡単にデキるはずだから。

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